借地権マンションの売却で苦戦した話
借地権のマンションを売却したときのお話しです。東京のとある高級住宅街にそのマンションはありました。築年数は古いものの外観はヴィンテージマンションのように瀟洒な造りで、その高級住宅街の雰囲気にマッチしていました。
あるご縁でそこの一部屋の売却をご依頼を頂いたのですが、借地権の売却をする際にどうしても確認をしないといけないのが、借地契約の内容です。新たに購入した方は改めて借地契約を締結しますので、地代等の借地契約の内容を確認しないと販売活動もできません。
また売主様にも譲渡承諾料という費用が発生します。この費用は不動産を第三者に譲渡する際に地主へ支払う名義書換料です。今回はこの譲渡承諾料で非常に苦戦をしました。地主のもとに借地契約の内容確認に伺ったところ、地代等の借地契約の内容は至って普通の内容でした。ただ譲渡承諾料が非常に高額で、それを売主様に報告すると非常に困惑されました。
一般的な譲渡承諾料は売買価格の5%~10%が相場です。今回の譲渡承諾料は売買価格の25%を要求されており、売主様もそこまでは払いたくないという意向でした。このままでは借地権譲渡の許可を裁判所から得るしかなくなりますが、余計な費用と時間がかかります。また地主の買取交渉の機会を第三者に先んじて設けないといけません。
ここまでくると売主様も気持ちが滅入ってしまい、すぐに売却したいというお気持ちになられました。そこで考えたのが先に買手を見つけてしまい、新しい買主様に自分の分の譲渡承諾料を先に支払ってもらい、地主へ売主様、買主様両方から同タイミングで譲渡承諾料が入るようにする代わりに譲渡承諾料を減額してほしいという交渉を持ちかけました。その交渉の結果、地主さんは両方から譲渡承諾料が入るなら売買価格の15%で良いということで了解が取れたので、売主様も納得され、ようやく売却活動に移れました。
売却活動の中で投資家の方が購入したいということで、譲渡承諾料の話しをしたところ、将来的に売却するつもりだから丁度良いということで成約に至り、無事に引渡しをすることができました。
譲渡承諾料は借地契約書に明記のない場合は、地主の言い値から交渉が始まります。借地権譲渡許可を裁判所に訴えることもできますが、費用と時間がかかるので、不動産売買のスピードにはあまりそぐわないと思います。地主は代々そこで高い固定資産税や相続税を支払いながら土地を維持している百戦錬磨の方が多いので、不動産屋でもやり込められてしまうことが往々にしてあります。このような方たちとの交渉は情や理屈ではなく、利益のみで進むということを教えられた一件でした。