1.相続の流れ
急に相続が発生した場合、手続きをどのようにしていくかほとんどの方が悩まれると思います。こちらでは相続が発生した場合の流れをご説明させて頂き、皆様のお役に少しでもたてれば幸いです。
相続の開始
死亡診断書を添えて、亡くなられた方の市区町村に死亡届を提出します。
初7日の法要
四十九日の法要
ここまでに遺言書を探します。遺言書があれば基本的に遺言書の内容が優先されますが、公正証書による遺言書以外の遺言書は家庭裁判所が検認します。
相続人を確定させる
遺言書の有無を確認しながら、合わせて相続人を確定させます。故人の出生からお亡くなりになった時までの戸籍謄本と相続人となる方の戸籍謄本を取り寄せて確認します。新たな相続人が後から発覚した場合、基本的に遺産分割協議がやり直しとなるため、しっかりとした調査が必要です。
財産を特定して
財産目録を作成する
相続人を確定させる作業とともに、亡くなられた方の財産を特定して財産目録を作成します。預金、現金、有価証券、不動産、動産(車・貴金属)などが主な財産となります。不動産に関しては固定資産税の課税明細書で所有していた不動産が把握できます。但し、固定資産税の課税がされていない不動産(私道等)は名寄帳で確認ができると思います。
単純承認・限定承認・
相続放棄の選択
亡くなられた方に負債があるなどで、相続放棄、限定承認を選択する場合は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所での手続きが必要となります。単純承認は特に手続きは必要ありません。
準確定申告
亡くなられた方が生前に確定申告をしていた場合は、相続開始を知った日から4ヶ月以内に亡くなられた方の代わりに確定申告(準確定申告)をする必要があります。
遺産分割協議書を作成する
遺言書があれば原則として遺言書の内容に従って相続をしますが、遺言書が無い場合には法定相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議で分割内容の合意が全員から得られれば、財産を誰がどのように相続するかを記載する遺産分割協議書を作成します。
相続不動産の名義変更
不動産を相続する際には、相続登記をすることで亡くなられた方より相続人に名義変更されます。令和6年4月1日より相続登記が義務化されましたので、不動産を多数所有していた方の相続では漏れのないようにしましょう。
相続税の申告
相続税の申告・納付期限は、相続の開始を知った日から10ヶ月以内となっています。期限内に申告・納付ができないと各種加算税及び延滞税がかかります。
2.相続の方法
相続の方法には大きく分けて3種類の方法があります。限定承認及び相続放棄については相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。
単純承認
単純承認とは、相続人が金銭、不動産、有価証券などの得になる財産も亡くなられた方の損になる財産(負債)も引き継ぐことです。特に手続きを行わなければ単純承認となります。
限定承認
相続は得になる財産だけではなく、損になる財産を引き継ぐこともあります。しかし、限定承認を行えば、得になる相続財産の範囲内で損になる財産を相続すればよいため、相続した財産以上の債務を引き受けることはありません。
相続放棄
相続放棄は、相続人が亡くなられた方の財産や債務を放棄する権利のことです。損になる財産が多く、相続したくない場合は相続を放棄することができます。但し、得になる財産も一切放棄することになります。
3.不動産の相続方法
不動産を相続した場合の分け方は、主に4つに分けられます。
現物分割
現物分割とは、例えば不動産が3つで相続人が3人の場合、各不動産を各々1つずつ相続する形です。不動産を共有することなく、単独で使用・売却ができますので、相続不動産に住む、売却するなどは簡単になりますが、不動産の価値は1つとして同じではないので、資産価値の低い不動産を相続する相続人は不満を持つ可能性があります。
代償分割
代償分割とは、不動産を単独相続した相続人が、他の相続人に対し、代償財産を支払う方法です。例えば、相続人が子供3人で不動産が6000万円の評価の場合、1人が不動産を相続する代わりに他の2人に2000万円ずつ代償金を支払う、または他の財産を交付する形です。主に相続人の一人が亡くなられた方の不動産をそのまま使いたいなどの時に選択される相続方法となります。
換価分割
換価分割とは、不動産を代表者が単独もしくは相続人全員で相続し、売却した上で現金化して相続人で分けるという分割方法です。相続する不動産を使用することがないなどの場合に選択される方法です。
共有分割
共有分割とは、相続する不動産を相続人全員が共有名義で相続するという方法です。4つの方法の中で相続時は波風の立たない相続方法ですが、相続後に揉める、不動産が空き家で放置されるなどのケースが1番多いのもこの方法です。
- 誰か一人でも売却に反対したら売れない。
- 誰か一人でもその家に住むと言えば明渡しを請求できない。
- 固定資産税の支払いを誰か一人でも滞納したら相続人全員の連帯納付義務が生じる。
- 相続人が亡くなるとその配偶者・子供が相続人となるため、共有者が増えていき、意見の 統一が難しくなる。
- 空き家で売却しない場合、誰が管理するかなどの問題が発生する。
などのトラブルが発生することが多く、親族間の関係性が悪化することがあります。
4.相続分割合
・配偶者と子供が2人いる場合
配偶者
1/2
子供
1/4
子供
1/4
配偶者と子供がいれば、遺言書などで第三者に相続させるなどがない限り、配偶者と子供(第1順位)のみの相続となります。子供が亡くなっていて孫がいる場合は孫に子供の相続分割合が代襲相続となります。
・配偶者と父母がいる場合
配偶者
2/3
父母
1/3
偶者のみで子供がいない場合は父母(第2順位)が相続人となります。父母がいない場 合で祖父母が健在であれば祖父母が第2順位となります。
・配偶者と兄弟姉妹がいる場合
配偶者
3/4
兄弟姉妹
1/4
配偶者のみで子供、父母、祖父母もいない場合は兄弟姉妹(第3順位)が相続人となります。